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第3号(2006/03/25発行)
【外国人旅行者の受入体制】
観光先進国オーストラリアを訪ねて
3月17日から21日まで、観光先進国であるオーストラリアに視察に行って来ましたので、
今回は少し趣向を変えて、オーストラリアの外国人旅行者受入の取り組みなどをご紹
介します。
≪日豪の観光収支≫
世界観光機関(WTO / World Tourism Organization)が発表している直近2003年のデー
タによれば、オーストラリアの観光収支は約30億ドル(観光収入103億ドル、観光支出
73億ドル)の観光黒字です。一方、日本の観光収支は201億ドル(収入88億ドル、支出
289億ドル)の大幅な観光赤字になっています。観光は、オーストラリアでは一大産業で
あり、それだけに人々の観光に取り組む姿勢も真剣そのものです。
≪有望な中国・韓国マーケット≫
今回はオーストラリア最大の都市であるシドニーを訪れました。最も驚かされたのは、
中国人と韓国人の多さです。アジア人は日本人ばかりかなと思って行きましたが、感覚
的には、中国人・韓国人の方がそれぞれ日本人より多かったように感じました。少し古
いデータになりますが、同じWTOが発行している2002年の外国旅行者数のランキング
においても、アジアではマレーシア、中国、日本、台湾、韓国の順に多くなっており、
現在では日本と中国の差は更に開き、韓国と日本の差は詰まっているのではないか
と思います。いずれにしても、日本の観光においても中国語圏(中国、台湾、香港)と
韓国は有望なマーケットであると言えます。
≪オーストラリア政府の取り組み≫
英語圏以外からは中国人、韓国人、日本人が多いことはシドニー空港において無料で
配布されている公式ガイドブックが英語、中国語、韓国語、日本語で用意されている
ことからも分かります。しかも、これらが政府の主導するプログラムの中で作成されて
いることから、オーストラリア政府が観光を外貨獲得の手段としていかに注目している
かということも見てとれます。ちなみに、空港での検査もかなり厳重でしたが、観光地
におけるテロなどで観光客数が落ち込んだ例は東南アジアや中近東で数例ありますの
で、その二の轍を踏まないようにしているのだと思います。
このメールマガジンで、政府主導の観光政策の重要性という大きな話題を取り上げて
も仕方がありませんので、ここでは各観光施設における取り組みで参考になるものを
ご紹介したいと思います。
≪ターゲットを絞る≫
ホテルは、ずっと同じホテルに連泊しましたが、そのホテルの館内文書の多くは日本語
化されていました。中国語、韓国語には翻訳されていませんでしたので、このホテルは
ターゲットを英語圏+日本人に絞っているようです。確かにJALのフライトアテンダント
の方も多く利用されていましたし、他にも多くの日本人が宿泊していました。多くの言
語に対応して受入の間口を広げる策もありますが、このようにターゲットを明確にする
ことによって稼働率向上を狙う策もあります。ターゲットを明確にすることによって、
スタッフの対応スキルも向上が期待できます。このホテルの場合は、スタッフが徐々に
日本語や日本人対応に慣れてくることが期待できます。
≪マーケティング≫
多くの観光施設でチケットを購入する際に『どの国から来たのか』と聞かれ、その回答
を端末に入力している光景に遭遇しました。各観光施設単位でもこのようなデータを
マーケティングや受入体制整備に活用しているのだと思います。
≪観光施設における創意工夫≫
観光施設では、持てるポテンシャルを使い切ろうとアイデアを絞っていると感じました。
例えば、シドニータワーではスカイウォークという展望台の屋根の上を歩く(勿論、
手すりも命綱もあります)ツアーがあります。また、シドニーブリッジでは、橋のアー
チの上を最上部まで歩くツアーがあります。動物園では、カンガルーが放し飼いになっ
ているコーナーに入れたり、コアラに触れたりできますし、水族館ではサメの水槽に
入るツアーというのもありました。私自身は危険なものに挑戦しようとは思いません
が、そういうニーズは多いようで、どのツアーも大人気だそうです。随所にいかにして
観光客を楽しませようかと創意工夫した形跡が見て取れました。
≪両替所の多さ≫
外貨の両替所はいたるところにありました。日本でも外国為替管理法改正で規制緩和
されていますので、これは外国人旅行者誘客促進においてオーストラリアから学べる
点ではないかと思います。
≪アトラクション≫
オーストラリアの先住民(アボリジニ)のダンスなどもアトラクションとして確立され
ています。日本では先住民というと北海道地方のアイヌ人が思い浮かびますし、確かに
北海道ではアイヌ人によるショーがあります。しかし、必ずしも先住民でなくても古く
から伝わる踊り、歌、祭、技巧などは同じように活用できるのではないかと思います。
例えば、既に活用されている伊勢志摩の海女さんや、秋田のなまはげ等のように。
≪困ったときの対応≫
海外では要領を得ませんので、困ったとき、私は日本人のツアーガイドに聞くか、いな
い場合には先ずは文章を読んで対処しようとしますが、皆さんはいかがでしょうか。
そういう意味で、日本の旅行エージェンシーが積極的に外国人を採用したり、外国人に
日本でエージェンシーを作ってもらったりすることは外国人旅行者誘客において非常に
有効だと思います。ホテル・旅館・観光施設などの立場では、読んで理解してもらえる
文書を準備することが重要になります。多くの観光施設において、必要最小限以上の
内容が前述の4ヶ国語で記述されていました。
≪卵が先か鶏が先か≫
外国人旅行者受入においては、外国人旅行者が来てくれるから受入体制を整えるの
か、受入体制が整っているから外国人旅行者が来てくれるのかという卵が先か鶏が
先かの議論になりがちです。受入側からしてみれば、外国人旅行者が来てくれるから
受入体制を整えるという流れの方が集客を見込めるのでありがたいというのが本音
だと思います。しかし、受入体制の整っていない場所にはお客様は決して来ないこと
も自明の真実です。受入体制には、来てもらって素敵な思い出と共に帰ってもらえる
ように何とかしようという気持ちも含まれます。と言うか、その気持ちの占める割合が
大きいです。是非、できることから少しずつ始めて下さい。
次号では、【日本人旅行者のリピーター化】AIDEAESモデル(顧客は2度評価する)につ
いて、その次の第5号では、【外国人旅行者受入】 外国語(先ずは英語)のホームペー
ジ作成時の注意点と、海外からの予約受付についてご紹介する予定です。
【編集後記】
今回のオーストラリアでは、本当に官民あげて観光に真剣に取り組んでいることが分か
りました。ちなみに、学は今回の旅行からは分かりませんでしたが、多くのオーストラ
リアの大学で観光学部または観光学科があるそうです。非常に学ぶところの多い有意
義な旅行でした。
同時期にケアンズには30年に一度の大規模なハリケーンが上陸し、観光地も大きな被
害を受け、飛行機も欠航になるなど大変な騒ぎだったようです。同時期にケアンズを
訪れていた私の知人は、その影響で帰国が2日遅れました。
今回シドニーに行くに当って、大変有意義に活用させていただいたサイトがありますの
で、ご参考に紹介させていただきます。『まごつきませんシドニーでは』略して『まご
しど』というサイト( http://www.magosido.com/ )です。本当に懇切丁寧に日本語で
シドニーについて解説してくれてあります。この努力には頭が下がる思いです。是非、
今後シドニーに行こうと思っている方は覗いて見て下さい。
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