第10話(2006/08/07発行): 経営コンサルティング、教育研修、外国語関連サービス、地域活性化支援のアーリー・バード

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第10話(2006/08/07発行)

第10話 差別化

マイケル・ポーターによると、競争優位はコストリーダーシップ、集中化、差別化の
いずれかによってしか生まれません。この3つを総称してポーターの競争戦略と呼び
ます。今回は、その差別化に関するお話です。

以前、東京の郊外に、駅から遠く、築年数も決して新しくなく、取り立てて何の
取り柄もないマンションがありました。当然のように空室が多く、値段を下げれば
入居者が増えるかというとそうでもなく、またあまり露骨に下げると以前からの
入居者の家賃も下げねばならず、まさに八方塞がりの状況でした。

ところが、入居者募集広告にある一文を追加しただけでそのマンションはあっと
いう間に満室になりました。しかも、周辺相場よりも高値で。その一文とは、
『ペット可』です。今でこそ、ペット可のマンションも増えてきましたが、当時は
未だ『マンションではペットはご法度』と考えられていた時代でした。これは、
その常識を覆し、他のマンションと差別化することによって成功した事例です。

潜在的なニーズはあったはずですが、皆、『マンションではペットはご法度』という
常識の前に、それを口に出すこともなく我慢していたところに、ペット可マンション
という画期的な商品が目の前に現れたので飛びついたと言うことだと思います。
この成功によって、ペット可マンションは増え始めました。

一方、差別化は必ずしも成功するわけではないという事例もあります。ある10万人
都市に、新築の分譲マンションでペット可という物件があります。10万人都市です
ので土地はあまり高くなく、また土地の所有願望が依然として高いので、持ち家の
主流は一戸建というエリアです。つまりマンション市場は元々小さいエリアです。

差別化することにより、この小さい市場を更に細分化したことになります。
ターゲットは、『一戸建でなくてもよくて、ペット好き』な人を10万人、周辺部を
含めても10数万人という中から、数十室を販売できる数だけ探さなければなりません。
ちなみに、ペットを飼っていない人は、敢えてこのマンションを買わないでしょう。
なぜならば、やはりエントランス、エレベータなどの共用部が汚れやすいので、
どうしてもこのマンションは敬遠することになるからです。

結果的にも、このマンションは現在も残戸があり、販売に苦戦を強いられています。
このケースでは『一戸建でなくてもよくて、ペット好き』という条件で市場を細分化
しましたが、細分化しすぎたのが失敗の原因です。ちなみに、市場細分化する際の
条件の1つに『維持可能性』があります。これは、細分化した市場から十分な市場規模
と利益が得られるかという視点です。この失敗例は、維持可能性の点において問題が
あったと言うことができます。皆さんも、二の轍を踏まないように注意してください。

競争戦略 ⇒ http://www.ebird.co.jp/terms/a10/c02/post_9.html
市場細分化 ⇒ http://www.ebird.co.jp/terms/a10/c03/post_10.html

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