第23話(2007/2/5発行): 経営コンサルティング、教育研修、外国語関連サービス、地域活性化支援のアーリー・バード

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第23話(2007/2/5発行)

第23話 ドライブスルー

最近、近所にあるクリーニングのドライブスルーが撤退しました。登場した当時は、
『クリーニングもドライブスルーの時代か』と思った程度で特に気にも止めていま
せんでしたが、撤退して改めて考えてみるとニーズがなかったのだと思います。

そもそもドライブスルーをメジャーにしたのはご存知マクドナルドです。ドライブ
スルーがマクドナルドにもたらしたメリットは計り知れません。なぜならば、マク
ドナルドに限らず飲食店の1日の売上は、以下の計算式で決まるからです。

平均客単価 × 客席数 × 客席回転率

例えば、マクドナルドの平均客単価が500円、客席数が60席、客席回転率が1日5回転
とすると1日の売上高は15万円、1ヶ月450万円、年間5,400万円となります。これを
増大させるためには、客席数は店舗面積などの関係から簡単には増やせませんので、
セット販売などで平均客単価を上げるか、朝食時・昼食時以外の来店客数の少ない
時間帯の来店客数を増やさなければなりません。ここでは、客席数が1種の制約条件
になっています。

ドライブスルーは、この売上モデルに対して、客席数を制約条件でなくすという
革命的な変化をもたらしました。もっとも、テイクアウトはドライブスルー以前か
らありましたが、テイクアウトを主流にしたのはドライブスルーです。ドライブ
スルーの登場によって、マクドナルドの売上モデルの制約条件は、客席数からドラ
イブスルーの処理能力またはキッチンの生産能力に変わり、売上を飛躍的に向上させ
る余地が生じました。

ここまでは、売り手であるマクドナルド側のメリットを検証してきましたが、これ
ほどまでに成功を収めたということは当然買い手である私達消費者側にもメリット
があったはずです。例えば、
(1) カウンターに並ばなくていい(より手軽に買える)
(2) 若者の多い店舗に入り難いという若者以外のニーズ
(3) 席待ち、席探しをしなくていい
(4) 自宅、車内、公園など好きな場所で食べられる
(3), (4)はテイクアウトでも実現されますが、(1), (2)はドライブスルーでないと
実現できません。消費者はこれらのメリットを感じて、マクドナルドのドライブ
スルーを利用するようになり、いつしかそれが習慣化しました。

果たして、クリーニング店の場合はどうでしょうか。クリーニング店のカウンター
に長蛇の列があるのを見たことはありませんし、単独店舗もスーパーなどのテナント
も出店形態としてありますが、いずれも特に入り難いということもないでしょう。
敢えて消費者のメリットを挙げると、雨の日などに車から降りなくていい、一人
暮らしの男性の中にはクリーニング店のカウンターには並び難いので助かるという
程度ではないでしょうか。いずれにしても顧客に大きな価値を提供できず、顧客
ニーズを喚起することができなかったので閉店に至ったということになります。

クリーニング店は、他業界からドライブスルーという仕組みを学んで導入した訳で
すが、ここで必要だったのは、単なる物真似で導入するのではなく、上述のような
その仕組みの背景にある買い手側のメリット、売り手側のメリットなどをもっと深く
検証することです。仕組みの背景にある理念や、その仕組みが顧客に価値を提供して
いるプロセスから学ぶことを『ベンチマーキング』と言い、他者事例を表面的に
真似することと区別します。このクリーニング店の事例でも、最初にこのような
考察がきちんと出来ていれば、結果は異なっていたでしょうし、そもそもドライブ
スルーを導入しなかったことでしょう。

『学ぶ』の語源は『真似ぶ』だと言われていますので、真似することは重要なこと
です。ただし、単に表面的に真似するのではなく、その仕組みの理念や顧客に提供
している価値などより深いところから学ぶようにして下さい。


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