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第3話(2006/06/19発行)
第3話 高級ホテルのランチバイキング
ある高級リゾートホテルがランチバイキングを始めました。このホテルもご他聞に
漏れず、客室稼働率が下がってきたので他で収入源を確保しようと、様々な対策を
検討しました。ランチ時のレストランの回転率が低いのは、リゾートホテルの宿命
と半ば諦めていたそうですが、フードコンサルタントの助言でランチバイキングを
始めたとのことでした。
ターゲットとして目をつけたのは、観光客もさることながら、地元の主婦でした。
ディナーだと一人1万円近くなり高嶺の花ですが、ランチバイキングは2,000円台で
長時間楽しむことができます。
さて、ランチバイキングを始めてみると、予想通りたくさんの地元の主婦が訪れ
ました。複数人で連れ立ってくるので、席の占有率が高まり、レストランは
昼食時に賑わうようになりました。しかし、長居する方が多いので、回転率は
それほど高くはなりませんでした。元々、昼食時は開店休業のような状態だった
ので長居してもらっても構わないし、ビジネス街のレストランではないので、
昼食時の高回転率も期待していなかったとのことです。ここまでは予想通り。
予想外はここからです。もともと数少ないレストランの利用者であった2泊、
3泊、それ以上というリピーターの長期滞在客が減少し始めました。彼らは、
経済的に余裕のある中高年の夫婦で、このホテルに静かな雰囲気を求めてきて
いました。しかし、にわかに賑やかに(時にはうるさいほどに)なった
レストランに閉口して、単にレストランで昼食を食べなくなっただけではなく、
ホテルそのものに来なくなってしまったのです。
長期滞在客以外のリピーターのお客様も、客層が変わったとの噂から足が遠のく
方が出てきました。思わぬ顧客数の減少と、そのランチバイキングとの因果関係に
気付き、ホテルは慌ててランチバイキングを中止しましたが、一度去ったお客様は
簡単には戻ってきませんでした。そのホテルは、ランチバイキング開始以前よりも
厳しい状況に立たされています。
この話は、客層を拡大することの難しさを如実に物語っています。既存の客層と
新規で狙う客層の相性がよければいいのですが、いずれかがもう一方に悪影響を
及ぼす場合、客層の拡大には慎重に取り組まなければなりません。
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