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第3話(2006/06/23発行)
第3話 起業時に選択する分野(3) ― 市場浸透戦略型(補足)
前号で話した『最後まで誠実に勤め上げる』ことに関して、以前、ある証券会社の
方から次のような句を教えて頂きました。
浜までは 海女も蓑着る 時雨かな (詠み人知らず)
昔、旅の者が、ある村の庄屋が死をも恐れぬ域に達した人物だという噂を聞き
つけ、その庄屋の家を訪ねた。生憎、庄屋は留守で、対応に出た家の者は
『主人は医者に行っています』と伝えた。すると、旅の者は『医者に行ってまで
生きようとするということは、やはり死を恐れているのだな。大したことはない
な。』と言い残して、庄屋の家を後にしました。入れ違いで戻った庄屋が家の者
から報告を聞いて、紙にメッセージを書き、家の者にその旅の者を追わせて渡す
ように申し付けた。そのメッセージがこの句です。
この句に託した庄屋の真意の私なりの解釈は『海に入ればずぶ濡れになる海女も、
浜に着くまでは蓑を着て雨にぬれるのを防ぎ、美しくあろうとする。私も、
死を恐れているのではなく、死ぬまでは美しく生きようとしているだけである。』
です。
この句を読んだ旅人は、すぐに庄屋の言わんとせんことを理解し、来た道を取って
返して庄屋の家に戻り、その日は庄屋と語り明かしたそうです。
私は、いくつかの印象的な言葉をデスクマットの下に引いて、目に止まるように
していましたが、退職前3ヶ月はこの句をよく見える位置に置いて、最後まで
きちんと勤め上げるという気持ちを忘れないようにと自分に言い聞かせていました。
石田三成にもよく似たエピソードがあります。
関ヶ原の合戦後に捕えられた石田三成が、処刑直前に警護の者に水を所望した。
「水は無いが、柿があるので、それを食え」と言われたところ、
「柿は痰の毒なのでいらぬ」と答えた。警護の者は、
「すぐに処刑される者が、毒断ちして何になる」と笑ったが、三成は、
「大志を持つ者は、最期の時まで命を大切にするものだ」と答えたという。
人は見ていないようで見ているものです。最後まできちんと勤め上げていかない
ようでは、周囲からの信頼は得られません。大志を持つ者として、最後まで
きちんと勤め上げましょう。
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